3.加勢
「さすがジェイド・カーティス。譜術を封じても侮れないな」
「お褒め頂いて光栄ですね。さあ、武器を棄てなさい。 ティア! 譜歌を!」
喉元にジェイドの槍を突きつけられ、数メートル先からに銃口を向けられた魔弾のリグレットが素直に武器を落とした直後。
「ティア、後ろです!」
が叫ぶのと同時に降りてきたばかりの
直後、人間が地面に叩きつけられる鈍い音がした。
一瞬の隙を突き、素早く銃を拾ったリグレットは迷いなく引き金を引く。
寸分違わず彼女の放った弾丸を相殺し終えたはジェイドを庇うように立った。
昇降口ではライガを連れた妖獣のアリエッタが、ひらりとその背から降りるところだった。
「やれやれ」
「失礼致しました。多少の犠牲を出しても構わないのであれば、導師の再奪還は可能です」
は銃口をリグレットとアリエッタに向けたまま、ジェイドに提案を行う。
一瞬の沈黙の後、ジェイドは小さく「下」と呟いた。
(
「よくやったわ、アリエッタ。彼らを拘束して、タルタロスに 」
リグレットの判断は正しかった。
ただし、それがもう少し速かったなら。
間髪入れず、二人は動いた。
「ガイ様、華麗に参上」
上空から降ってきた謎の人物の登場により再び形勢は逆転する。
はアリエッタとライガに銃口を向けている。
ジェイドはイオンの傍に居た神託の盾兵を沈め、彼の奪還に成功した。
「さあ、もう一度武器を棄ててタルタロスの中へ戻ってもらいましょうか」
「大佐。殺さなくてよろしいのですか?」
銃口をアリエッタの米神に押しつけて、引き金に添えた指に力を込める。
ゼロ距離の今なら難なく命を絶てるだろう。
「今殺しては、中にいる神託の盾とも戦わなくてはなりません。それよりも優先すべきことがあります」
「承知致しました。 入れ」
アリエッタがライガを連れて船内に引き上げる。続いてリグレットもタラップを上り、船内へと消えた。
が地面に降り立ち昇降口を閉じる。これでしばらくはどの昇降口も開かない。
リグレットが残した二丁の譜銃はが回収した。
イオンの体力が尽きる前に一行は野宿の準備をする。
「俺は、ガイ。ファブレ公爵のところでお世話になってる使用人だ。よろしく」
これまでの経緯を説明し終えたところで、互いに自己紹介をした。
ガイと名乗る使用人は、ジェイドとイオンと握手を交わす。
次いでティアが差し出した手を握ろうとして、急に飛び退いて逃げた。
聞くところによると、彼は女性好きの女性恐怖症らしい。